特別展記録(平成元年度から平成10年度) 「中川一政と武者小路実篤」 会期:平成元年4月29日から6月4日 内容:日本洋画壇の巨匠・中川一政は、『白樺』時代から生涯実篤と親交があった。それぞれの書画、互いを語った著作、交わされた書簡などから、二人の出会いから晩年に至る交流をたどり、また中川一政の視点から実篤の人間像を探る。 「羽の生えた言葉−実篤の詩」 会期:平成元年10月28日から12月3日 内容:実篤は、『白樺』創刊以前の習作時代から最晩年まで詩を書き続け、詩には自分らしさが最も出ていると自負していた。三千を超す詩を残しながら近現代の詩壇からは省みられることがなかったが、一方その独特の世界が多くの人々に読み継がれてきた。実篤の詩の魅力を探る。 「白樺の文学−『白樺』創刊から80年」 会期:平成2年4月28日から6月3日 内容:明治43年に創刊され、大正文学の新しい流れを生み出した雑誌『白樺』が創刊から80周年を迎えるのを記念して、春秋二回の特別展で白樺を特集。春は、多岐にわたる活動のうち、文学活動を中心に、創刊までの歩みと文学史上の位置づけを検証。併せて同人それぞれの代表作と人物像、生涯にわたる交流を紹介。 「白樺の美術−『白樺』創刊から80年」 会期:平成2年10月27日から12月2日 内容:『白樺』の創刊80周年を記念して、多岐にわたる活動のうち、美術をテーマに、白樺派に贈られたロダンの彫刻や美術館のために収集したセザンヌ「風景」、また岸田劉生、梅原龍三郎らゆかりの画家の作品を集め、『白樺』が誌上や展覧会で繰り広げた美術活動とその影響を紹介。 「一筋の道−実篤の文学世界」 会期:平成3年6月8日から7月14日 内容:昭和61年から平成3年にかけて、30年ぶりに全集(小学館版)が刊行された。その完結を記念して、全集刊行の際に発見された現行や研究の成果を紹介し、小説、戯曲、評論、詩、美術論、雑感、随筆と幅広く膨大な実篤文学を総覧する。 「実篤と伊豆」 会期:平成3年10月19日から11月24日 内容:夏の家族旅行に始まり、神経痛の療養、作品執筆などのために、昭和初期から20年代にかけて実篤はたびたび伊豆を訪れた。伊豆で書かれた「愛と死」など小説や書画、地元で交流のあった方々ご所蔵の作品や、家族や友人にあてた手紙などから、伊豆との関わりを紹介。 (平成4年度から5年度は、資料館増築工事のため、特別展休止) 「描かれた実篤像」 会期:平成6年5月13日から6月19日 内容:資料館の増築開館を記念して、絵画、写真、文章などに描かれた実篤像を集め、遠近さまざまな関係にあった作者それぞれの目を通して、人間・武者小路実篤を立体的にとらえる。 「画道三昧−新しき村美術館所蔵品より」 会期:平成6年10月22日から11月27日 内容:埼玉にある新しき村美術館が所蔵している実篤作品約300点には、実篤が創立祭や自らの誕生日に制作した書画が多い。実篤の精神史をたどることのできるこれらの書画の優品と、新たに確認された原稿などを紹介。 「或る男−武者小路実篤の生涯」 会期:平成7年4月29日から6月4日 内容:記念館ではこれまで、実篤の業績をテーマごとに取り上げてきたが、実篤生誕110年を記念して、90年にわたる生涯を改めて振り返る。 「第二の誕生−岸田劉生と実篤」 会期:平成7年10月28日から12月3日 内容:日本の近代美術を代表する画家・岸田劉生は、実篤との出会いを「第二の誕生」と語る。明治末年に出会い、その後の制作や思想にも大きく影響を与えた運命的な出会いと交友を、作品と書簡等から検証する。 「ほくろの呼び鈴−実篤と家族」 会期:平成8年4月27日から6月2日 内容:実篤と家族の関わりを写真や交わされた書簡などで紹介し、また小説など作品に描かれた家族像の変遷をたどり、実篤にとって家族とは何であったか、そしてそれが作品にどのように反映されたかを探る。 「美を求めて−白樺同人が愛した美術」 会期:平成8年10月26日から12月1日 内容:白樺同人のうち、志賀直哉、柳宗悦、児島喜久雄、長与善郎、実篤を取り上げて、おのおのの収集美術品、創作、研究活動、関連資料を紹介し、彼らが求めた美の世界、美意識を探る。 「沈黙の世界−実篤と画家たちとの交友」 会期:平成9年4月26日から6月1日 内容:「文学は言葉の世界だが、画は沈黙の世界だ」と語った実篤。梅原龍三郎、中川一政、林武、熊谷守一らとの交友を示す資料とゆかりの作品から、実篤の好みと美術に対する姿勢を明らかにすることを試みる。 「書信往来−志賀直哉との60年」 会期:平成9年10月25日から11月30日 内容:武者小路実篤と志賀直哉の交友は、学習院の学生時代から生涯続き、60年余に及ぶ。その間に交わされた500通にも上る書簡から、そこに記された二人の深い信頼と友情を読み解く。 「神奈川近代文学館所蔵 中川孝収集 實篤文庫展」 会期:平成10年4月25日から5月31日 内容:新しき村会員の故中川孝氏は生涯にわたって実篤に関する資料の収集に情熱を注いだ。その成果に対し、実篤自身「実篤文庫」と名付け、他の会員たちもこれに協力した。これらは実篤に関する貴重な資料群として今も研究や全集の編集に寄与している。「実篤文庫」は故人の遺志により神奈川近代文学館に寄贈され、10年を要した整理の後、今春目録が刊行された。これを機会に「実篤文庫」の全容を紹介し、あらためて実篤の仕事の全体像を見直す。 「新しき村80年」第一部 「新しき村の運動−日向新しき村の建設」 会期:平成10年10月31日から12月8日 内容:創設80周年を迎えた新しき村で、実篤たちが求めた「自己を生かす」生活と社会の実現への取り組みがどのように行われてきたかを2部構成で紹介。第一部では、大正7年に始まった活動と、宮崎県日向の新しき村創設の軌跡をたどる。 「新しき村80年」第二部 「新しき村に生きる−東の村創立から60年」 会期:平成10年12月19日から平成11年1月24日 内容:創設80周年を迎えた新しき村で、実篤たちが求めた「自己を生かす」生活と社会の実現への取り組みがどのように行われてきたかを2部構成で紹介。第二部では、昭和14年に埼玉県毛呂山町に新たに設立された東の村の活動をたどりながら、実篤の著作や書画、また新しき村会員の作品を展示。