調布市武者小路実篤記念館

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トピックニュース

「トピックニュース」は、実篤記念館の事業活動をご紹介する記事で、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。

*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。

館報『美愛眞』12号 より2007年3月31日発行

ロダン来る!
開館20周年企画特別展「白樺とロダン」

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武者小路実篤記念館は、昭和60年10月に開館し、平成17年に20周年を迎えました。これを記念した企画として「白樺とロダン」展を平成19年2月10日〜3月21日に開催しました。

雑誌『白樺』は明治43年4月創刊。11月には近代彫刻の巨匠であるロダンの70歳を記念した「ロダン号」を発行しました。20代半ばの日本の青年達がロダンに憧れ、尊敬を抱いて編集したこの記念号がきっかけで、白樺同人とロダンとの交流が始まりました。その翌年、白樺同人がロダンへ浮世絵30枚を贈り、その御礼にロダンから3点のブロンズ作品「ある小さき影」「ロダン夫人の胸像」「巴里ゴロツキの首」(現在:大原美術館所蔵、白樺美術館永久寄託)が贈られました。今回はこの3点をはじめ、武者小路実篤が「ロダン号」に掲載した短篇戯曲「夢」で取り上げた「接吻」(東京富士美術館所蔵)、大正時代に実篤が入手し常に身近に置いて楽しんだ「小さなスフィンクス」(東京現代美術館所蔵)など白樺ゆかりのロダン作品8点を展示しました。

白樺同人はこのロダンから贈られた3点の彫刻を公共のものとし、『白樺』誌上や主催展覧会で紹介してきた西洋近代美術のオリジナル作品が日本で見られる美術館を造ろうと、大正6年から「白樺美術館設立運動」を始めました。今回はこの運動の寄付金で購入されたセザンヌ「風景」(現在:大原美術館所蔵、白樺美術館永久寄託)とデューラー「正義」(現在:日本民藝館所蔵)もあわせて展示し、また、白樺同人のロダン観を象徴する作品や資料も紹介しました。

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今回の展覧会では、開館以来『白樺』関係資料を調査してきた成果として、白樺同人の日記や書簡、展覧会目録、白樺美術館関連の資料、美術書などにも注目し、これらを丹念に追うことで、同人の当時の思いや衝撃、活動を実感していただくような展示構成としました。また、フランス国立ロダン美術館に所蔵されている、白樺同人がロダンへ送った浮世絵、手紙、写真を写真パネルで展示し、ロダンとの交流を紹介しました。

小品ながらロダン作品の持つ存在感、力が多くの来館者を魅了し、作品と資料から白樺同人が大切にしてきた美術作品を見る楽しみ、夢を実現させる行動力を感じていただく機会となりました。小規模な展示施設ですが、作品や資料とじっくり向き合い、見られるのも当館の魅力ともなっており、今後も充実した内容の展覧会を開催するべく努めてまいります。

この展覧会は、平成17年10月に開館20周年記念として開催される予定でしたが、直前の9月4日の集中豪雨により施設の一部が浸水被害を受けたため中止となり、関係者、関係機関のご理解とご協力を得て、この度開催することができました。