調布市武者小路実篤記念館

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コラム泉

「コラム泉」は、実篤の思い出、実篤記念館の活動についてなど、
ゆかりの方々にご寄稿いただいたもので、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。

*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。

館報『美愛眞』17号 より2009年9月30日発行

武者小路実篤記念館と調布の教育
海東元治(調布市教育委員会 教育長)

「水と緑」これは、調布を語るには切り離せないものです。豊かな水と緑は私たちの心をなごませ、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。武者小路実篤記念館は、この豊かな水と緑に囲まれた中にあります。実篤記念館では、武者小路実篤の生涯を偲ぶとともに、その業績を後世に伝えるために、武者小路家から寄贈を受けた「実篤コレクション」などを中心に、所蔵資料を広く展示しています。また、記念館として季節ごとの特別展示や、さまざまな実篤ゆかりの活動を紹介する中で、調布市民をはじめ全国の方々に、実篤の人となりを伝えています。

実篤記念館に隣接して実篤公園が整備されています。公園内は、四季の移ろいを感じさせる、まさに水と緑のおりなす自然にあふれており、武者小路実篤が晩年を過ごした邸宅や竹林、湧き水や池なども、そのままの形で残されています。このような自然の中で、実篤がさまざまな創作活動に取り組んでいたことを思い浮かべると、感慨深いものがあります。

この実篤記念館と調布の教育には、強いつながりがあります。何といっても、大正・昭和を代表する作家武者小路実篤がこの調布の水と緑を愛し、この地で晩年の20年間にわたって生活し、多彩な活動を展開してきたことは、調布市民にとって誇りにするところであるとともに、私たちに実篤の残した文学や美術作品にとどまらず、実篤の生き方や考え方まで、勉強してみようという意欲をもたせてくれています。

このこと一つを考えてみても、実篤記念館が、地域ゆかりの文化や芸術の拠点としての役割を担っていることが分かります。また、普及活動として、「実篤に挑戦」と銘うって行っている絵画制作会や読書会、朗読会などを通して、多くの方々の生涯学習の場として機能していることは、大変うれしいことです。

一方で、実篤記念館は、市内小・中学校に対する事業にも積極的に取り組んでいます。実篤に関する資料を学校に提供したり、創作や芸術鑑賞などの子ども向けのプログラムも工夫したりしています。子どもたちが、同じ地域で生活をし、多くの業績を残した先人に思いを馳せ、そこから様々のことを学ぶとともに、自分の生き方を考える一つの手がかりになることも期待しています。

このような実篤記念館の持つよさを大切にし、地域の教育施設として、さらに多くの皆様に愛され、利用される実篤記念館にしていきたいと思っています。