調布市武者小路実篤記念館

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コラム泉

「コラム泉」は、実篤の思い出、実篤記念館の活動についてなど、
ゆかりの方々にご寄稿いただいたもので、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。

*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。

館報『美愛眞』26号 より2014年3月31日発行

一層市民に親しまれる実篤記念館に
大和田正治
(調布市教育長)

ちょうど50年前、私は実篤記念館の近くにある調布市立若葉小学校を卒業しました。そのころ、まだ実篤先生はご存命で、庭を散策しておられる姿をお見かけした記憶があります。

昭和30年代の終わり頃には、今の実篤公園・記念館の周りはまだ人家は少なく、田んぼが広がり、あちこちできれいな水が湧いていたのを懐かしく思い出します。

その後急速に宅地化し、すっかり風景が変わりましたが、この豊かな湧き水がご縁となって、「年をとったら水のあるところに住みたい」と願った実篤先生がこの地を終の住処にお選びになり、自然の姿をそのまま庭として愛されたおかげで、実篤公園の中に貴重な湧き水が残ったのは、感慨深いことです。

隣接する実篤記念館も、開館してから早いもので28年が過ぎ、この間に200回を超す展覧会を開き、また講演会や朗読会などを行ってきました。こうした事業によって実篤先生の人物や作品を紹介するとともに、調布市民が身近に美術や文学に触れるころのできる機会を提供し、地域ゆかりの文化・芸術の拠点となっています。

市内の小・中学校との連携にも積極的に取り組んでおり、図書室でのパネル展示や出張授業、記念館見学などをはじめ、毎年夏休みにおこなっている自由研究をサポートするプログラムは、児童・生徒たちに好評とうかがっています。中学生の職場体験も毎年受け入れていますが、体験した生徒の発表などを見ると、記念館での体験によって仕事ということに対してよいイメージを持つことがわかり、嬉しく思っています。人間を愛し人の生長を信じた実篤先生の考え方に接することも、将来を考える上でよい体験になっているようです。

また、来年度から導入される指定管理者制度に伴う審議の中で、外部の委員の皆様から実篤記念館が他の美術館・文学館・博物館などの関係機関から高い評価と信頼を得、期待されていることを聞き、誇らしく思いました。

調布市武者小路実篤記念館は、平成26年(2014年)度より指定管理者制度を導入し、運営を新たな体制で行うこととなりますが、これからも展覧会や講座などを充実し、また広く全国から評価される事業を展開して、より一層市民に親しまれ、ふるさと調布の誇りとなる教育施設であるよう、教育委員会としても一層の努力をして参ります。