調布市武者小路実篤記念館

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トピックニュース

「トピックニュース」は、実篤記念館の事業活動をご紹介する記事で、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。

*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。

館報『美愛眞』2号 より2002年3月31日発行

武者小路実篤資料が再び仙川の地へ

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昨年春の特別展「武者小路実篤の抽出の中身〜東京都寄贈資料を中心に」で、実篤の没後東京都へ寄贈された資料をご紹介しましたが、このうち東京都近代文学博物館が所蔵する六四七点が、このほど当館に移管されることになりました。

東京都近代文学博物館は、文学館の草分けとして、展示、講座、文学散歩など、着実な活動を続けて来ましたが、平成13年度をもって閉館が決まりました。これに伴い資料の移管先が検討され、武者小路家寄贈資料については寄贈者のご意向により、調布市武者小路実篤記念館へ移管されることとなったものです。

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この中には、実篤が青年時代に大きな影響を受けたトルストイのドイツ語で書かれた伝記の筆写ノート、大正画壇を代表する画家・岸田劉生が描いた装幀・挿絵原画、実篤後期の代表連作〈山谷もの〉を含む数編の作品、わけても後半生を綴った自伝小説「一人の男」の原稿と、その単行本を飾った梅原龍三郎の装幀原画などが含まれています。

また資料の大半を占める書簡には、雑誌創刊に際して誌名を『白樺』としたいと書き送った葉書はじめ、学習院高等科時代から『白樺』前期にかけて実篤から志賀直哉に宛てたものや、白樺同人から遠く日向の新しき村に暮らす実篤に宛てたもの、夏目漱石からの書簡、また"仙川の家"で暮らした昭和30〜50年に文化界の重鎮となった実篤へ幅広い分野の人々から寄せられたものなどがあります。

移管を受けることにより、武者小路実篤に関する資料を今まで以上に当館が集中的に収蔵することになります。またこれらは、これまでも一人実篤だけでなく、広く近代の文学・美術に関する多くの展覧会等に利用されてきました。こうした質・量ともに高い資料群を、保存し、次の時代へ伝えていくということに対する当館の責任の重さをしっかりと受け止め、今後、保存と活用に努めて参ります。

なお、同館の閉館に伴い、このほかに図書・雑誌約三五〇〇冊余の移管も受けることになりました。これにより、関連のある作家の著書や雑誌でありながら、これまで当館で収集が及ばなかったものを補完することができ、今後実篤を知る上でさらに幅広い視点をご提供できることと思います。