武者小路実篤記念館では、記念館に親しんでもらうために、いろいろ工夫しています。特に小・中学生等の若い人たちにも関心を寄せていただくために、実篤に挑戦（筆と墨で絵を描こう）、絵本作り、夏休み自由研究サポート等実篤に因んだ行事や、実篤公園の中や周辺の自然観察会を実施しています。また、児童・生徒向けの記念館案内や「もっと知りたい」シリーズなど印刷物も発行しています。

昨年度は、これを一歩進め、市内各中学校に実篤の本、展覧会パンフレットや「もっと知りたい」のシート等を寄贈して、積極的に学校に協力を依頼しました。

ちなみに、展覧会パンフレットと申しますのは、記念館では、毎年、春秋年２回特別展を行いますが、その時発行する特別展覧会の内容をまとめた資料です。画、書、原稿、人物写真等ふんだんに写真を収め、さらに展覧会主題にふさわしい人たちの書かれた随想や解説があります。実篤とその時代の実篤の周りの人たちが実に鮮やかに見て取れるのです。「もっと知りたい」シリーズは、手軽なシートになっていて１号〜18号まで発行されています。実篤の生い立ち、実篤と白樺派、実篤と新しき村、実篤の文学・書画、代表的な小説・詩などテーマを決めてまとめられています。

現在、調布市内の中学校の図書室には、司書の方のご尽力でもっとも目立つ場所に「実篤コーナー」が各校それぞれに工夫され、きれいにレイアウトして設置されています。ある学校から次のようなお便りを頂きました。

「このほど図書室の入口の近くに《武者小路実篤記念館コーナー》として、過日ご寄贈していただきました本や展覧会パンフレット等を展示しました。本校に以前からある実篤関係の図書類も同様に並べました。場所もよいので生徒たちは「もっと知りたい」のシートなど興味深げに見ております。

また、実篤記念館のホームページを開き、実篤の生い立ちや人物像、作品、色紙、画など調べ掲示板に見やすいようにレイアウトし、実篤の「美・愛・真」に迫ろうとしています」とありました。

また、「総合的な学習の時間」などで活用してくれている学校もあります。ある学校の二年生の女子は「記念館は素敵な場所にあり、実篤が晩年を過ごした旧居には、実篤生存当時の遺品があります。展覧会パンフレットで見た本物が見られるから面白いです。」と発表してくれたとのことです。中学生が記念館に関心を寄せてくれていることを喜んでいます。

今後は継続的に発行物を追加し、各中学校の「実篤コーナー」の充実に役立ててもらいたいと思っています。また、市内の高等学校にも資料寄贈を検討しています。さらに、子ども向けの朗読会なども開催予定です。

若いときに一度でも、記念館に足を運んで実篤の心に触れてもらいたいとの願いを込めて、小･中学生に親しみ易い情報提供やイベントを企画してまいりたいと思います。