「トピックニュース」は、実篤記念館の事業活動をご紹介する記事で、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。
*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。
当館では、常に積極的に図書・雑誌の収集に努めています。個人記念館として、実篤の著書と研究書を揃える事は当然の責務ですが、更に、交友のあった人々、生きた時代、影響を受けた作家や、評論で取り上げた美術作品など、背後に広がる様々な要素についても紹介し、また学習や研究へ資料を提供するために、幅広く収集を行っています。
〈図書〉
〈雑誌〉
昭和六十年十月に当館が開館した当初、蔵書は図書・雑誌を合わせてわずか一、七五〇冊。実篤の著書も全くそろわず、初版本は志賀家から寄贈された直哉宛て献呈署名入り一三三冊があるばかりで、作品を読んでいただくどころか、日常の展示にも不自由する状態でした。
以来十八年、この間に多くのご寄贈をいただき、また計画的に購入を行ってきた成果として、平成十五年度末現在、二五、六〇〇冊を超えるまでになりました。
文庫本も含め八〇〇種を超える実篤著書は、初期の私家版などを除いてほとんど網羅でき、また主宰雑誌も、『白樺』の初期にはまだ欠本がありますが、それ以外はほぼ揃いました。そのほか、志賀直哉、有島武郎ら白樺同人の著書や、「村の本」「人類の本」など新しき村刊行の叢書類も、かなり収集が進んでいます。中には、『十年』や『白樺の森』ほか一連の白樺同人作品集や、岸田劉生の『黒猫』といった稀覯本もあります。
近年では特に、平成14年の東京都近代文学博物館の閉館に伴って移管を受けた約三、五〇〇冊と、小国英雄氏はじめ新しき村の古参会員の旧蔵書が加わったことで、これまで収集が及ばなかった主要な近代文学作家の著書や大正・昭和初期に翻訳出版された外国文学などを、かなり充実させることができました。重版ではありますが与謝野晶子『みだれ髪』や、村上華岳『華岳素描』、Meier-Grafe『Vincent』なども収蔵しています。
今後はこれらの補完と、『心』同人の著書の収集が課題です。『心』の同人は人数も多く、文学者、画家・彫刻家、哲学者、またさまざまな分野の研究者と多様なため、時間をかけて地道に取り組んでまいります。
このように、当館の蔵書は、実篤の著書だけでなく、近代の文学や美術、さらには歴史、風俗、また世界の文学や美術におよびます。原則としてすべて閲覧できますので、学習や研究にご利用ください。(ただし、貸し出し、コピーはできません。)
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