調布市武者小路実篤記念館

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トピックニュース

「トピックニュース」は、実篤記念館の事業活動をご紹介する記事で、
過去に館報『美愛眞』に掲載されたものを、再編集し掲載しております。

*日程や名称、執筆者の肩書きは、発行時のものです。

館報『美愛眞』22号 より2012年3月31日発行

様々な切り口から実篤を紹介
展覧会が二百回を超えました

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調布市武者小路実篤記念館では、開館以来、展示を常設にせず、約五週間の会期で展示替えを行い、年間に春・秋の特別展と、その間に三回ずつ原則収蔵品で構成するテーマ展を開催しています。

展示を常設にしないのには、いくつかの理由があります。

常設展示を行なうとすれば、生涯と作品・活動の全体を紹介することになりますが、一人の作家の業績から限られたスペースで取り上げるべき要素は自ずと決まってくるため、それ以外の事柄を紹介するのが難しくなります。一人の人物を対象とする個人記念館として、より掘り下げて紹介するために、様々な業績から小さなテーマで切り取ってきめ細かく取り上げ、それら一つ一つをプリズムの面のように組み合わせていくと、立体的な武者小路実篤像を結ぶような展示を目指しています。

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一方で、資料保護の問題があります。原稿・書簡や書画など自筆の作品・資料はもとより、図書・雑誌や印刷物なども、光や温湿度変化などによって、褪色したり脆くなるなど劣化します。博物館の役割として、長く後世に伝えて行くために、同じ作品・資料を長期間展示しておくことは出来ません。

資料保護のためにこまめに展示替えをすることは、より多くの所蔵資料に公開の機会を作ることにもなります。

見学に訪れる方にとっても、展示が替わることで、来るたびに違う展示をご覧いただけます。

こうした当館での展示の他に、別の会場での展示も、機会を捉えて行っています。近年では、平成十五年度から隔年で、調布市文化会館「たづくり」展示室で移動展を実施しています。

こうして開催してきた展覧会が、館内外合わせて、平成二十二年度末で二百回を超えました。

展覧会のテーマは、実篤が自らの仕事の三つの柱と語る文学、美術、新しき村の活動、また生涯や人物に関するものや、『白樺』、実篤の愛蔵品などを基本的な要素としています。そこからさらに焦点を絞り、志賀直哉・岸田劉生ほか芸術家たちとの交友や、「実篤と家族」「仙川の暮らし」といった実篤の生活に関するもの、「新収蔵品展」「書簡展」など収集と研究の成果を報告するものや、「絵皿・看板・包装紙〜街にあふれた実篤展」のように文学でも美術でもなく時代の中で捉えるもの、また展示される機会があまりない作品・資料を知っていただく「埋もれていたもの〜収蔵庫の中の珍品」展や、現代に求められる名言を取り上げた「生きぬく力〜実篤の言葉」展など、きめ細かく取り上げてきました。

九十年の生涯で膨大な作品と多岐にわたる業績を遺した実篤を、より広く深く知っていただくために、また、訪れる方に何度来ても新しい発見があるように、これからも様々な切り口からご紹介してまいります。