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お知らせ(集中豪雨による休館から再開まで)
2006年2月1日
 9月4日の集中豪雨により実篤記念館が浸水を受け、施設・設備に被害が生じました。これにより、整備のため臨時休館し、予定しておりました展覧会のうち、9月7日から10月16日の「実篤愛蔵の逸品」及び、調布市制施行50周年・開館20周年記念秋の特別展「白樺とロダン」が中止となりました。
 施設への主な浸水状況は、1階事務室の半地下部分が81cm浸水し、他の1階部分は、ロビー24cm、展示室と閲覧室、休憩コーナーが10cm、応接室16cm、学芸員室12cm、地下は作業室が24cm冠水しました。設備関係では、エレベータ室142cm、エレベータ機械室42cmの浸水がありました。
 被害が大きかったのは1階事務室で、浸水により多くの事務書類や事務用パソコン2台などが被害を受けました。また、木ブロックを敷き詰めていた本館展示室の床は、冠水により床材が水を吸い、全面張り替えとなりました。設備ではエレベーターのモーターが浸水したため稼働せず、その復旧には時間を要します。
 地下にある収蔵庫への浸水はなく、部分的にダクトなどの配管をつたわり天井よりの水漏れがありました。フィルム収蔵庫では、収納キャビネットから取りだして作業をしていたフィルムの一部、また、書籍や印刷物、写真パネルなどを収蔵していた第2収蔵庫では、館発行の印刷物、写真パネルの一部に被害がありました。幸いにも実篤の著書や雑誌『白樺』など、当館にとり貴重な図書、雑誌には被害がありませんでした。
 また、展示作品をはじめ、2階収蔵庫で収蔵している美術品や自筆原稿、書簡などには、被害はありませんでした。
 被災当初は、浸水の掃除と天井の水漏れから地下収蔵庫の資料を守る対応に追われました。その後、水被害にあった多くの事務書類などを乾かすことに日々追われ、水を被った場所にカビが発生しないようにふき掃除をし、空調機や除湿機、扇風機で乾燥することに努めました。緊急的な作業や対応が一段落つくようになったのは、約1ヶ月余りが経ってからのことです。
 そして、天井からの水漏れ被害のあった地下の収蔵庫は、カビの発生を防ぐため、10月3日から11日まで燻蒸作業を行いました。
 今回の水害では、電気設備や空調機械に大きな被害がなく、すぐに稼働できたことから、収蔵庫や各部屋の換気や除湿などに支障がなく、資料、収蔵品や作業環境への二次的な被害が拡大することがなかったことは幸いでした。
 当館は入間川が近いことから、増築で地下収蔵庫を建設する際に、収蔵庫の下に貯水槽を造り、万一浸水があった時には、水が収蔵庫にたまらず貯水槽に落ちるように建設していました。また、地下収蔵庫に収蔵する資料は、大半が図書や雑誌、印刷物など複数部制作され、他にも保管されている可能性の高いもの、写真パネルなど新たに制作ができるものを収蔵する方針としておりました。書棚も漏電と停電対策のために電動とはせず、手回しのものを採用し、スペースのゆるす限り最下段へは資料を置かず空間をとり、また、入口付近には発行印刷物を置くなど、運用でも配慮しておりました。
 図書や資料のごく一部は、天井からの水漏れで水を被ったものがありましたが、幸いなことに、それらの図書や資料は中性紙の保存箱に収納しており、また、それ以外の図書はグラシン紙をかけて収蔵していたことで、水に直接あたらず、資料への被害を少なくすることができました。こうした、施設や収蔵方法を工夫する事前の対策により被害を最小に留めることができたと考えております。
 復旧作業には、協力ボランティアの方々にもご協力をいただき、図書の移動や乾燥、発行印刷物のチェック、水被害にあったものの搬出、棚のふき掃除など、様々な面で活躍していただき、大きな力となりました。
 今後は施設、設備の復旧、また館の防水対策、地下への水漏れ対策を進め、被害にあった一部のフィルムや写真パネルなどは順次制作しなおすなど、館の事業活動に支障がないように努めてまいります。