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「愛と死」原稿をご寄贈いただきました
2008年8月12日

 武者小路実篤の小説「愛と死」は、「友情」とともに知られる代表作のひとつです。昭和14年7月に雑誌『日本評論』に発表されて以来、今も読み継がれ、現在も複数の出版社より文庫本が刊行されています。
 原稿からは、作品タイトルが「生者死者」→「生死」→「愛と死」と変遷した様子や、主人公が亡くなる場面では実篤自身が「涙を流しながら書いた」というとおり涙でインクが滲んでいる様子(131枚目ほか)など、創作の過程を読み取ることが出来ます。
 この原稿は、当館が開館した昭和60年(1985年)に、実篤生誕100年を記念して企画された『武者小路実篤全集』(小学館 全18巻 昭和62年12月〜平成3年4月刊行)出版を知った所蔵者が、編集部に連絡し、発見されました。
 当館でも、昭和62年(1987年)に開催した特別展「愛と死」で原稿をお借りして展示し、これがこの原稿の初公開となりました。その後も、文学や昭和時代の活動を紹介する特別展で、度々、所蔵者より借用し展示してきました。
 こうした長年の経緯の中から、本年4月に、所蔵者から寄贈をお申し出いただきました。現在開催中の夏休み企画展「もっとしりたい 武者小路実篤」で寄贈後初めて展示しています。(8月31日まで。以後は、保存に配慮しながら、年間展示計画の中で、随時公開して参ります。)